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地球の水を守ろう!!
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地球の水をまもろう!
水の学習室
   − 目次 −

1.水の基礎編

2.水危機編

3.水環境対策編

§1.水質浄化対策
水質浄化対策の基本構成
有機物処理
栄養塩(窒素・リン)処理
生活系排水の対策
工場排水の対策
農地・畜産系排水の対策

§2.河川の浄化対策
河川のもつ水質浄化機能
河川浄化対策の方法
河川直接浄化手法の分類

§3.湖沼での浄化対策
湖沼浄化対策の手法
湖沼流域対策
湖沼流入河川対策
湖内直接浄化対策

§4.海域での浄化対策
海域浄化対策の手法
汚濁物質流入防止対策
汚濁防止技術
赤潮防止対策
干潟再生技術
藻場再生技術



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水の学習室
第3章 水環境対策編

§4.海域での浄化対策

  
  ◆藻場再生プロジェクト


海域浄化対策の方法

 大都市周辺の汚濁源を有する内湾、内海等の閉鎖性海域は、他の水域と比較して環境基準の達成率が低く、これに加えて窒素、リン等を含む物質が流入し、富栄養化が進んでいます。
 東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などでは富栄養化による赤潮が多数発生しています。また、東京湾等では底質悪化等による貧酸素水塊が大規模に発生し、これにともなう青潮の発生もみられます。このような状況に対処するため、閉鎖性海域の水質保全対策の一層の推進が求められます。
 海域に流れ込む河川水は、上流部の森林伐採や荒廃により、雨水などが土壌中で長時間滞留されず、腐葉土からの溶出ミネラル成分が少なくなっています。このような河川水が、海域へ流入すると、ミネラル不足から汽水域に分布している海藻類を衰退させ、磯焼けを招きます。海藻類は、窒素やリンを肥料として吸収し、水質浄化に貢献しているため、この海藻類の減少は、富栄養化を促進し、赤潮の原因へと繋がってしまいます。
 それら対策として内陸部では、上流部の森林保全、自然環境に配慮した河川整備、排水処理施設の整備が進められていますが、海域ではほとんど対策がとられていないのが現状です。今後、海域においても、河川からの汚濁物質を拡散させない対策や、海藻の生育を助ける鉄分などのミネラルの補給等の対策が求められています。
 沿岸域では、高度経済成長期を中心として、産業用地や物流機能等を確保するための埋立が行われたことにより、干潟や藻場が急速に消失してきました。このような沿岸域では、残された貴重な干潟・藻場等を保全するとともに、失われた干潟・藻場等の再生に向け、自然再生法に基づく自然再生事業や、浚渫土砂等を活用した干潟、浅場の再生、深堀跡の埋戻しが推進されています。
 また、底質の悪化が著しい海域においては、生物生息環境の改善や底泥からの栄養塩類等の溶出抑制を図るため、浚渫・覆砂等を実施しています。


汚濁物質流入防止対策

 河川流域や沿岸都市部からの生活排水や工業排水は、環境意識の高まりや放流水質基準の規制強化により、排水処理設備が整備され、近年では高度処理設備も多く設置されていることから、一定の水質基準を満たしています。しかし、河川放流基準が、窒素、リンの規制をしていなかったことや、ノンポイントからの汚染物質流入が増加していることから、栄養塩類が海域に流れ込み、海水の汚濁、富栄養化、赤潮発生へと繋がっています。
 また、異常気象や森林荒廃により増加する自然災害からは、土砂やガレキ、ゴミの流出が発生し、工場事故発生により有害物質が流出するなど、海には様々な汚染物質が流れ込み、海水汚濁や富栄養化の原因となっています。
 この汚濁物質流入対策として、河口付近や汽水域に汚濁物質防止装置を設置し、海域へ汚濁物質が流れ込むのを軽減します。海藻類の発育を促進し磯焼けを防止することにより、海域の生態系を保全して、豊かな海を取り戻します。

汚染水流出防止


汚濁防止技術

 閉鎖性海域や内海の沿岸域では、魚貝類の養殖などが行われ、海水のキレイさが求められています。
 また、養殖場で魚類に与える撒き餌や、抗生物質、魚類の糞などが、直接的な汚濁源となる場合もあります。
 沿岸域の都市開発、港湾開発や交通網整備などに伴う橋脚工事や港湾工事では、汚濁水が発生し、漁場や養殖場に被害をもたらす原因となっています。
 これらの対策として、炭素繊維汚濁防止装置を汚濁源との間に設置することにより海洋汚濁が防止できます。


  炭素繊維による海域直接浄化方式 (CFMA 炭素繊維水利用研究会)

炭素繊維による二段式汚濁防止装置概念図


赤潮防止対策

 赤潮の対策として、富栄養化を抑制するため栄養塩類を削減することがあげられます。海域へ流入前において、排水処理施設、河川、湖沼などの水質浄化をより推進し、栄養塩類の流入を防ぐことが最も重要です。しかし、ノンポイントからの流入は完全に防ぐことは難しく、海域での直接的対策をとる必要があります。沿岸域では、干潟や自然海岸を再生し自然浄化機能を高め、海域では海藻などの藻場を再生することにより、生物や藻類による栄養塩類吸収を促進します。それらの基盤として、炭素繊維人工コンブ(ミラコンブ)を設置することが有効で、海藻類や水中生物の繁殖を促し、海中に海の森を造ります。炭素繊維は、その生物親和性により、様々な微生物や水生生物、ホヤや牡蠣などの貝類などが住みつき、コンブやワカメなどの海藻類も繁殖します。炭素繊維に住みつく様々な動植物により海中の生態系バランスが整えられ、栄養塩類減少へと繋がり、赤潮の発生を防ぐことが可能となります。

 海域への流入前の防止対策
 ・排水処理施設等
 ・河川
 ・湖沼

 海域での防止対策
 ・炭素繊維による人工藻場システム  (CFMA 炭素繊維水利用研究会)


赤潮の対策

干潟再生技術

 干潟は、海と陸の間にあって、生態系の食物連鎖、栄養塩類・物質循環の要として、生物生息機能、水域浄化機能、生物生産機能、生物の食物・栄養の受け渡し場所となっており、生態系の維持・継続に深く関わり、その状態の善し悪しは水質にも深く関係します。
 干潟再生は、干潟を挟んで陸から水域までの食物連鎖・栄養循環を一体的にとらえ、陸域には、海水への塩耐性植物・栄養塩類吸収植物の海浜植物、干潟には食物循環としてカニ類や貝類、水域には、魚類等々と、連鎖する「生物循環浄化機能」により水質浄化を図ります。

 干潟再生技術は、以下の方法があります。
  ・植物浄化
  ・貝類食性効果
  ・炭素繊維吸着及び微生物による水質浄化
  ・潜堤
  ・覆砂



藻場再生技術

 藻場は、魚介類の産卵場や稚魚・稚貝の生育場、餌場、隠れ場所として機能し、さらに、アワビ・サザエ・ウニなどの重要な漁場であり、水質浄化の役割も果たしています。藻場は、生えている海藻の種類によってアマモ場、ガラモ場、アラメ場、海中林藻場などに分類されます。
 しかし現在、藻場は浅海域の埋立や海水の富栄養化、赤潮の発生、海水温の上昇、食害動物の増加などが原因で失われつつあり、海域の生態系に大きな悪影響を与えています。
 
 この藻場を再生することにより、水質浄化と海の生態系の保全、水産物の漁獲高の向上が望まれます。
藻場再生技術には、以下の方法があります。
  ・海藻の着生基盤
  ・海草の移植
  ・炭素繊維による人工海藻にて水質浄化とワカメなどの苗床とする。

 炭素繊維による人工海藻システム (CFMA 炭素繊維水利用研究会)

炭素繊維人工海藻による藻場再生概念図


引用:「炭素繊維水利用技術設計指針 −環境水編−」  (CFMA 炭素繊維水利用研究会)
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